「生理痛がきつくて・・・。生理前にイライラしたり頭痛がひどくて・・・。」
10代前半の女の子から50代の女性まで、同じ症状で悩まれて当院へ来られます。

生理前のイライラ、頭痛、吐き気、胸の張り、むくみなどの不快な症状を医学用語では
「月経前症候群(PMS:Premenstrual syndrome)」、生理痛のことを「月経困難症」と言います。
月経前症候群は排卵後に上昇する「プロゲステロン」というホルモンのしわざです。
なので治療としては、このプロゲステロンが上がりすぎないように低用量ピルを内服したりします。
また、加味逍遙散という漢方はイライラにとてもよく効くので、まず漢方を試してみてもいいかもしれません。

そもそも、生理痛はなぜ起こるのでしょうか?実は子宮は平滑筋という種類の筋肉の塊です。
1か月に1回、生理の時に子宮の内膜が剥がれ落ちるのですが、その時にこの平滑筋がぎゅーっと収縮します。
出産の経験がない若い子は、子宮の出口がまだ狭いため、このぎゅーが強くなるため、痛みが強くなります。
出産すると生理痛が軽くなる人がいるのはこのためです。

生理痛のイメージ図

低用量ピルを内服すると、子宮の内膜が薄くなるため、ぎゅーっと収縮しなくても内膜が剥がれ落ちるため、生理痛が軽くなります。
鎮痛剤を内服しても生理痛がおさまらない人には、低用量ピルはとても良い選択肢です。
他にも、子宮筋腫や子宮内膜症があって、子宮が大きい人や子宮の周りに癒着がある人は生理痛が強くなります。
手術が必要な方もいますが、先ほどの月経前症候群で悪者であったプロゲステロンが、子宮内膜症の人には救世主的な存在です。
プロゲステロンは子宮内膜症の病変を小さくしてくれるからです。

痛みを我慢しないで、ぜひ、相談にいらして下さい。
鎮痛剤、ホルモン剤、漢方、子宮内リング(ミレーナというプロゲステロンが放出されるリングがあります!)
様々な選択肢がありますので、一緒にどの薬が合うか選んでいきましょう。

院長:中野章子