こんにちは 院長の中野です

子宮頸がんは性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因と言われている癌です。子宮頸がんを予防するHPVワクチンは平成25年に定期接種となっていましたが、接種後にワクチンと因果関係が否定できない持続的な痛みなどの副反応の報告があったため、同年6月に積極的には推奨されないこととなりました。そのことで日本でHPVワクチンを接種する人はほぼいなくなってしまいました。世界では接種が継続されており、多くの先進国では子宮頸がんにかかる人は激減しました。しかし、日本はずっと上昇している現状でした。今回、このHPVワクチンの安全性が確認され、副反応のリスクより明らかにワクチンの有効性の方が上まるということで、令和3年11月に積極的勧奨が再開されました。本当に良かったと思います。これで若くして命を落とす女性を助けることができると思います。

定期接種の対象者は小学校6年生~高校1年生の女子です。この年齢の子は公費(無料)で3回のワクチンを受けることができます。また、積極的勧奨を差し控えていた時期の平成9年4月2日~平成18年4月1日生まれまでの女子(令和4年に16~25歳になる女子)は、キャッチアップ期間として、令和4年4月1日~令和7年3月31日までは無料で受けることができます。

現在のところ無料で受けることができるHPVワクチンは「ガーダシル」(4種類のHPVの感染を予防できるワクチン)と、「サーバリックス」(2種類のHPVを予防できるワクチン)です。これらのワクチンを初めての性交渉の前に打つことで70%弱の子宮頸がんを予防することができます。世界では「シルガード9」という9種類のHPVを予防できるワクチンの方が主流で、このワクチンだと90%の子宮頸がんを予防できます。残念ながら日本では現時点では公費の対象外となってしまうため、3回の接種で当院では87,000円(29,000円×3=87,000円)かかります。高価ですが、こちらのワクチンを希望される方もいます。将来的にはシルガード9も公費となると思われますが、まだ時期は未定で数年はかかると思われます。初めての性交渉の前に接種することで一番効果を発揮できるワクチンなので、シルガード9が公費となってから接種しようとするとその前に性交渉の機会があるかもしれません。なので今打てるワクチンを打っておくほうが賢明なのかなと思います。

最近はHPVワクチンを希望される方が増えてきました。希望される方は電話で予約をお願い致します。

このワクチンは接種される方が10代の若い子が多いため、ワクチン接種後に恐怖心などで気分が悪くなったり倒れてしまう例が報告されているようです(一時的なものです)。そのため、接種後30分は院内で休んでいただきますのでご了承ください。

またコロナワクチンの接種が重なるかもしれないと心配される方もいますが、2週間あければ接種可能ですので、無理なく接種はできると思います。ワクチンに関して疑問点がありましたらいつでもご相談ください。

院長:中野章子